#9 カラダさまの再構築

痛みには、ストーリーがある。
痛みには、ドラマがある。
昨日、3年ぶりに来院された男性のクライアントさんがいらした。
その方、趣味で自転車に乗られているのですが
私もその方から聞いて初めて知った世界なのですが、
自転車レースの種類に『ブルベ』というものがあるのだそうだ。 『ブルベ』という競技とは何ぞや?というと、 タイムや順位にはこだわらず、制限時間内での完走を認定する自転車競技なのだが、
驚くのはその距離。
聞くと、短いので200Km。
長いものだと1200Kmと。
1200Kmってアンタ・・・。
こんな一般人感覚では考えられないような距離を、数日かけて自転車で完走する競技が存在しているのだ。
その方も、この8月に北海道で行われた、このブルベの1200Kmの大会に出場されたのだが、 結果 80Kmでリタイア。 でもそれには明確な理由とプロセスがあった。
お話を伺うと、まず数年前に転職をされ仕事が忙しくなり一日中PCの前に座っている時間が圧倒的に増えてしまったこと。
また、それに伴い 自転車の練習の時間が段々ととれなくなってきたこと。
そして決定的なことのひとつが、今年の前半に自転車走行中に転倒してしまい
右肘を骨折してしまったこと。 それでも、なんとか再起しようと出場した大会でまさかの早々リタイア。
しかも原因が、右肘ではなく左の臀部(おしり)の痛みでのリタイアだったのだ。
と、いう流れからの実に3年ぶりの来院。
そしてあれこれカラダさまに聴いてみると、足首が無いの。感覚が。
このへんが、表現が難しいのですが
"感覚が無い” と言っても、なにも "神経に障害がある” というハナシではなく、
そのクライアントさんの脳が、自分の足首の位置情報をきれいに忘れてしまっている感じ。
『地に足ついてない』みたいな表現が適切かもしれない。
こうなると、一番の弊害は動きそのものもそうなのだが、
それよりも厄介なのが『夜、寝てもカラダにリセットがかからない』
ということ。
こういう状態に、気が付かないうちになってしまうことこそが習慣というものの怖さであり、デスクワークの怖さ。
イスに座っていることの怖さ。
自分の足首に、自分の体重がかかってこない怖さ。
でも、常にカラダさまはなんとかしようと思っている。
だからこその怪我【我(ワレ)ガ、怪(アヤ)シイ】であり、
だからこそのリタイアであり、
こんな目にとことんまで会うからこそ、ヒトは再びなんとかしようと思えるもの。
ここからのこのクライアントさんの、カラダの再構築が楽しみである。